脳の性質からみる能率的な復習法
復習する際は五感を動員し、「海馬」に情報が留まる期間は約1ヶ月間
1ヶ月かけて本当に必要な情報かどうかを選別していますので、復習するなら1ヶ月間の間に繰り返し実施することです。海馬により多くの情報を送った方が勘違いをしてくれる確率が高くなりますので、記憶には五感を総動員することです。
長期記憶のためのインターバル学習
暗記科目の最も効率的な復習時期は、忘れかかった時で「再認可能と完全忘却」の寸前
復習のタイミング
記憶の「賞味期限は1ヶ月」。復習は1ヶ月以上間隔をあけると、一からのスタートと同じになる。
参考書は何種類も使用しないこと。復習効果はあくまでも同じものに対して生まれます。
※復習は間隔を空けて行うことで、海馬がその情報が必要と判断させるコツです。
海馬の性質を考慮した復習のスケジュール
***必要以上にやっても成果は変わらない***
直ぐ | 理解したことを声を出して直ぐ覚えるように努力する |
1回目 | 当日の1–6時間後か学習した翌日。(注)連続して2回やっても効果は薄い。
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2回目 | 1週間後、週末にはその週に勉強したものを総復習する。
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3回目 | 2週間後 |
4回目 | 月末に一番近い週末に、その月の分の総復習をする。1日で出来ない場合、何日かに分けてやるか空き時間を利用して実施する。
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***4回の復習を少しずつ時間間隔を広げながら2ヶ月かけて行なうのがベスト!*** | |
5回目 | 記憶の確認と忘れ物を捜すことが目的で、出来るだけ素早くこなすこと。 |
復習は1ヶ月以内でないと効果なし
回を重ねるごとに記憶力が増強しているのは、無意識のうちに脳に蓄えられているからで、無意識の記憶なので思い出すことができないだけである。
2回目の学習のとき、潜在的記憶が、自然と暗記を助け成績を上昇させるので、学習を繰り返すと記憶力が増強したように思える。
復習の際の注意点(記憶にも「賞味期限」がある)
復習のタイミングは1ヶ月以内でないと効果なく、復習しても、また一からスタートし直ししていることになる。
復習効果はあくまでも同じものに対して生まれるので、参考書は何種類も使用しないことである。 何度もその参考書を復習したほうがよく、最低4回は繰り返すことである。
「復習」は脳にとって意義ある勉強法
無意識の記憶(潜在的)が暗記を助け成績がアップ
1度で記憶に定着できるのは20/100程度
暗記科目を3回繰り返す手順
・・暗記科目は暗記量により偏差値が上昇する・・
1回目 | 太字だけを覚える。重要と感じた段落、文章に印をつけながら全体の流れや大まかな筋を掴む。 |
2回目 | 文章全体をよく読んで、論理の展開に注意しながら重要なセンテンスに線を引く |
3回目 | 本文の復習と図表・欄外・資料をやる。重要事項や時事用語などを○で囲む。 |
⇓
“雪だるま式”に知識を増やす。(注)最初から全部覚えようとすると挫折します。
※問題集に取り組んだ場合、忘れたり、間違えた事項は、その都度該当部分にフィードバックすることを繰り返せば、記憶の定着と同時にどのような形式でも答えられるようになる。
やさしい内容こそ3回繰返す
・・・基本的で易しい事柄はサラリと流しがちでケアレスミスを起こし易い・・・
最初に暗記するもので「覚え易い」と感じた事柄は、3回インターバルをおいて繰返すこと。
繰り返し読む場合は、同じように読まない。回を追うごとに目の付け所変えて読むこと。
例:教科書・参考書・専門的解説書・新聞など
完全に飲み込む必要ありと感じた文章。
普段読みなれた表現で書かれた文章。
専門用語・時事用語などを含む文章に( )をつけてチェックする。
大筋を掴んでから細かいところをチェックする方法で反復すると理解力が増し記憶の定着しやすい。
理科・数学の「反復学習法」
理論を段階的に進めていく教科に向く学習法で、基礎の風化防止を防ぎ断片的な記憶にならず、流れや展開を理解しながら新しいものを覚えていけます。この方法は、特に、苦手科目に向く学習法で、いつでも、どこでも覚えたことを頭の中で自問自答することも反復学習になります。
理解が必要な科目の「勉強のコツ」
※「3W1H法」で思考回路を修正 1問あたりの制限時間を設定し、解けなければ何故解けなかったのか、どこで、何を間違えたのか、今後どのようにすれば弱点を克服できるのかを分析する。
例えば:
公式は知っていたが、この場面で使うことを知らなかったので・・・、この公式を使った入試問題をあと何題か解いて みて、原因を追究し弱点を克服する対策を立てて実力をアップさせる。
記憶力を高める反復学習※ハーバード大学:広中教授
繰返すことに能力の差はない!
※学習する上で大切なことは繰返すこと。
普通の人の記憶率 | 天才 | |
1回目 | 30% | 50% |
2回目 | 30–50% | 50–70% |
3回目 | 50–80% | 70–80% |
「情動(=快楽、悲哀、恐怖、驚愕などを含めた感情の動き)」がつくる思い出・・「エピソード記憶」
ストレスはホルモンのバランスを崩し、LTPが形成(記憶の妨げ)されにくくなります。アルコールもLTPが弱まり、飲みすぎると「アルコール健忘症」になります。
「エピソード記憶」は喜怒哀楽の感情が思い出に絡み、情動が記憶を促進しています。
復習の回数を少なくする方法
***「θ波」と「扁桃帯」が「学習の効率化」のカギ***※扁桃帯:喜怒哀楽などの様々な感情を生じさせる場所で、動物は効率よく危機を回避するための生き残り作戦が、感情による記憶を促進しています。
何千年のも進化の過程で自然淘汰され記憶の性質を利用することは、生物学的にも「理」かない脳への負担も少ない方法です。
テスト前に大量に知識を詰め込むことの出来る人は、テストへの不安や危機感が一時的に記憶力を高めることの出来る人ですが誰にでも出来る方法ではありません。一般的にテスト直前の詰込みには難点(ストレス)があります。強いストレスは「LTP(長期記憶)」の発生を阻害しますのでストレスは大敵です。
1つ目の方法
脳波「α波」「β波」「θ波」の中の「θ波」の出ている状態の時は、少ない刺激の回数でLTP(長期記憶)が起こり学習対象に興味を持つと覚え易くなり、復習の回数が少なくて済みます。
2つ目の方法
「海馬」の隣にある「扁桃帯」の神経細胞を活動させると「LTP(長期記憶)」が起こりますので、喜怒哀楽などの感情が生まれている時に、物事を覚え易いということになります。このような記憶は1度で覚えられしかも強固ですが、あまり強いと「トラウマ」になることもあります。
インタバル式短時間集中学習法
学習能率はスピードとの戦い
ダラダラと長く続けずに短時間勉強しては少し休み、また、短時間取り組むことです。
⇒「集中学習-休憩-集中学習-休憩」というリズムを上手く調節する密度の濃い学習
⇒3時間・4時間と同じ教科・科目を学習するのではなく、1教科・1科目の学習時間を60–90分で3分位の休憩を入れて何度も繰返すことです。
⇒学習時間を決めたら、事前に範囲・単元を決めて「今日はここまで」と取り組み理解・記憶する
休憩の効用
慣れていない場合は機械的に時間を決めないで、頭が最高に働く限度を決めて「これ以上やると飽きてしまうか頭が働かない」という直前で休むのがコツです。
休憩することで頭に入れた知識が整理されますが、英単語などの暗記ものは分けて覚えるのが効果的です。
翌日の再練習
睡眠は頭の整理期間です。但し、いい加減に覚えたものはどこかに消えてしまいますので要注意です。
翌日に前日の分を復習してみると「完全に覚えたこと」「曖昧なこと」「忘れたこと」がはっきり区別できます。
「曖昧なこと」「忘れたこと」をもう一度覚えてください。一度やっているのであまり苦労しなくて記憶できます。
集中学習の基本
同じ系統の教科は続けて取り組まないのが基本です。例えば、物理と数学、古文と漢文などは相互に牽制し合い集中力を鈍らせ記憶力を低下させます。
学習能率は質
眠い時の3時間より、熟睡後の起きがけの30分の方が短時間で驚くほどの効果が上がります。
学習の終わりの30分で仕上げテストをすると記憶力は強化されます。自分では十分にやったつもりでも意外な落とし穴があったり、ぽっかり忘れてしまった箇所があったりするので、その時間にやった内容をざっと反復して確認するだけでも記憶の残り方が全然違います。
勉強が終わったら速やかに寝る習慣をつけるようにしましょう。そのまま起きていて、勉強以外の刺激を与えると新しい情報が記憶として優先されますので効率が悪くなります。このことは記憶の保存率の検証結果からも明らかです。
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