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  • ishikawa59

看護・医療系の小論文の形式について解説!




特に指定がなくても、「国語」の試験の中でそれに類する出題される学校もあるので要注意

日頃から物事に対し自分の意見を持って生活することが重要



出題形式・テーマについて

  1. 「グラフや表などの資料」をもとに論述するもの(時間は90–120分)主として大学の一部で実施されています。

  2. 「課題文」を読みそれについて書くもの(30–60分で平均50分)大学入試で多いパターンで、随筆・論説・新聞記事などを読み自分の考えを書くものです。読解に類する問題が合わせて出題されることもあります。

  3. 「課題」が与えられ、それについて書くもの(30–60分で平均50分)専門学校に多く見られ「高齢化社会」などの医療分野に関することや「私の目指す○○像」などの志望動機に関することが多いようです。


様式・字数について

原稿用紙の様式は様々で、縦書き・横書き、マス目形式・横罫線形式、字数指定は○○字以内、○○–○○字、字数制限なしなど。○○字以内の場合は最低その80%は書く必要があります。



書く手順

まず出題者が何を求めているのか、課題を把握することから始めます。

 いくら文章が上手でも、課題に適した内容でなければ評価は下がってしまいます。課題の捉え方によっては、内容がかなり違ったものになるため、常に出題者側が何を書かせたいのかを考える必要があります。



文章全体の構成

 最もシンプルなのは「序論・本論・結論」の三部構成で、序論の導入段階で何について論じるか(テーマを限定)、このテーマに関して結論は何か(結論の先行提示)を先に述べておき、後から本論で説明する形を取ると、採点者が読みやすい構成となります。仮に時間切れになっても、最悪の事態は免れることが出来て、何を言わんとしているのかは最低限伝えることが出来ます。結論の部分でもう一度意見を集約し、提言・抱負・決意といった積極的要素で締めくくると印象がよくなります。

このような「テーマ限定・結論⇒説明・論証⇒再結論・提言」のパターンは英語の論文や新聞記事に非常に良く見られるもので、習熟すればいろいろと応用が出来ます。



小論文試験への準備

書くための材料は、「体験・知識・考え」の三つに集約されます。日頃から新聞によく目を通して(作問者も同じように新聞を読んで社会の動向をつかみ、問題を設定してくる)、看護・医療(出来れば福祉・教育。世相も)分野の記事をよく読んでおくことです。



練習

 先ず書くことが大切ですが、ダラダラと書くのではなく時間制限や字数を決め、誤字・脱字に注意して練習することです。採点者に見てもらうことを考えて、楷書で丁寧に書くことは当然です。



書く時の基本

  1. 文末表現は常態(「だ」・「である」)を用いること

  2. 書き言葉で書き、俗語や流行語は使わないこと

  3. 文章を書き終えたら必ず読み返し、次に先生や友達等に読んでもらい批評してもらうこと


注意を受けた箇所を考え直し再度書き直しことが、「小論文上達の最大のコツ」

練習を繰返し、相手に自分の意見が正しく伝われば小論文対策は完璧です。 手順がマスター出来れば、後は「慣れ」です。志望校の過去問の出題傾向に合わせて似たような課題で練習したり、様々なテーマで1週間に1度は「書く」習慣を身につけることです。

 書くだけでなく優れた文章を読むことも効果的ですので、英語や国語の勉強ばかりでなく、書物にも目を通すことです。


「書けば小論文、しゃべれば面接」と言われています。



小論文・作文の出題例


  1. 課題が与えられそれについて書くもの

  2. 課題文を読みそれについて書くもの

  3. 英文の課題文を読みそれについて書くもの

  4. グラフや表などの資料をもとに論述するもの

  5. 上記のパターンを複数組み合わせたもの


[1]課題が与えられそれについて書くもの・・・・主として専門学校・短大


医療分野に関するもの

  1. 医療ミスについて、あなたの考えを述べよ。

  2. 「カルテ開示」二つ手、存否両論を挙げながら、自分の意見を述べよ。

  3. 医療の進歩が人類にもたらすもの。

  • 「動物実験」についての意見。

  • 情報化社会での医療。

  • 「安楽死」の問題について。

  • 高齢者リハビリティーションのあり方について。

  • IT革命と障害者との関わりについて述べよ。


その他の社会問題


  1. バリアフリー社会づくりにあなたが参加するとしたら、あなたは何を提案するか。

  2. 遺伝子組み換え作物を食品として取り入れることに反対か、賛成か。

  3. 国際ボランティアについて。

  4. 自己権利と責任

  5. 情報公開

  6. 私と環境問題etc


自分自身の動機や信条など


  • 自分を大事にすることはどういうことか。

  • これからどのように生きたいか、今まで生きてきたことに関わらせて述べなさい。

  • 課外活動で得たものを、これからに自分の人生にどのように活かしていきたいか。

  • 科学する心とは何か。

  • あなたの思う「自由」について

  • 人生で大切にすべきこと

  • 命を預かる心構え

  • 理想の看護婦像etc


[2]課題文を読みそれについて書くもの・・・・専門学校・短大・大学


例題 [問題] 次の文章を読んで、後の問に答えなさい。


 人間は生まれた時にはいまだ「私」という意識を持たない。そもそも意識ということ自体、存在するかどうか怪しいものである。赤ちゃんは母親の胸に抱かれ、自と他、下界と内界の区別さえ明確に出来ない状態で存在している。それが、内界からの空腹・排便などによる刺激、下界からの母乳などによる刺激を通じて、新生児は意識をもちはじめる・・・・

<中略>


 ここに対人恐怖症の例をあげたのは、その症状が日本人の特性を反映するものとして、多くの精神学者・臨床心理学者によって取り上げられており、今後の議論を展開する上においても便利と考えたからである。ある男子学生が、人が怖くて外出しがたい、無理をして登校はしてくるが、人が多くいるとろは怖くてたまらないと訴えてくる。このような例の場合、この学生は人が怖いと訴えても、それはわれわれが野獣が怖いとか殺されるのがこわいと言うのとは同じではなく、心の中では人間など、そのような意味で怖いのではないことはよく知っているのである。いわば、自我は人が怖いという感情と怖くないという判断の不統合性に脅かされているのである。

                  (河合隼雄「母性社会日本の病理」1999年刊)


[問題1]問題文に示された「自我」の形成過程を200字以内で説明しなさい。

[問題2]問題文に「自我の不完全性」を示す「神経症」のひとつである「対人恐怖症」の症例が紹介されていますが、そうした「自我の不完全性」についてあなたの見解を200字以内で論述しなさい。


[3]英文の課題文を読みそれについて書くもの・・・・主として大学


[問題] 次の英文を読み、設問Ⅰ・Ⅱに答えなさい。


(A)Speech is so familiar a feature of daily life that we rarely stop to define it. It seems as natural to man as walking, and less so than breathing .Yet it needs only a moment's reflection to convince us that this naturalness of speech is only an illusory feeling .The process of acquiring speech is,in fact,an utterly different sort of thing from the process of learning to walk・・・・

<中略>


Not so language. Walking is an organic, an instinictive, function; speech is a non-instinctive, acquired, "cultural"function.


[設問1]省略

[設問2]問題文の中心テーマである「人間の言葉の特徴」について、あなたの意見を600字以内で述べなさい。


[4]グラフや表などの資料をもとに論述するもの・・・・主として大学

[5]上記のパターンを複数組み合わせたもの・・・・・主として大学



面接・小論文の基本的理解

  1. 学科試験と面接・小論文

  2. 面接と小論文

  3. 表現と内容

  4. 「私」に関するテーマと「時事関連」テーマ

  5. 「組み立て」と記述の仕方

  6. 推敲と字数

  7. 記述と添削


1–学科試験と面接・小論文


 学科試験では学力を見、面接・小論文では人物評価を見られます。顕著な傾向としては面接・評論文の比重が高まっています。入試担当者からは「学生のレベルが下がった」という危機感を耳にしますが、これは人間のレベルが下がったという意味で「言われた通りにはできるが、それ以上のことができない」「患者から今何が願われており、自分はどのように対処すべきといった状況判断力が弱い」といった苦情から、「こんなことまで学校で教えないといけないのか」といった嘆きまで聞かれます。したがって、面接などでもマニュアル通りではなく、その場その場の判断能力を問うような状況質問をしたり(「患者にリハビリを拒まれたらどうしますか」「意見が割れたらどうたいしょしますか」など)、「家でお手伝いをしますか」といった何気ない質問で適性を見たり、わざと友人に話しかけるような口調で質問をして、本音を引き出そうとする努力が行われています(例えば、普段敬語を使い慣れていないと、直ぐにボロが出たりする)。



2–面接と小論文

 その人の中身を知りたければ、何か質問をしてしゃべらせるか、何かテーマを与えて書かせるか、のいずれかの方法になります。「しゃべれば面接、書かせれば小論文」といわれる所以です。

 これらの対処法としては、常に、あるテーマに関する自分の意見・考えを「端的に言えばどういうことか」「一言で言えばどうなるのか」といった観点を持つことです。

 最初から全てを説明し尽くそうと焦るのではなく、一言で結論を言い、後から説明・補足をしていくという発想形式に慣れると、どのような場面にも応用が効くようになります。



3–表現と内容

小論文は表現と内容の両面が採点対象です。


  • 表現・・・800字、50–60分形式が一般的です

  • 誰もが間違えがちなものに・・・漢字、送り仮名、誤字、脱字、句読点、語句対応、主語・述語などの表現整備を心がけること

  • 文章は「起承転結(=漢詩などの文学形式)」でとか、「文章の神様」志賀直哉や朝日新聞の「天声人語」を書き写せと言う人もいますが、現在の入試対策では通用しません。

  • 論理的文章の基本は「序論・本論・結論」の三段形式で、英語の論文形式と同じです。参考になるのは、ジャーナリストの文章で、重要なことを前へ前へと持ってきます。美辞麗句に満ちた文章より「言わんとすることを正確に伝える文章」を心がけ、「華を去り、実に就く」といわれる原則に従っています。


「読み手」「採点者」「試験官」は極めて読みやすい文章構成

  1. 序論で「結論の先行提示」(多くの内容を含む包括的なテーマは「テーマの限定」が必要)

  2. 本論でその論証となる具体例を提示し、本論でその論証となる具体例(800字なら1–2つ、1200–1600字なら3–4つ)を提示します。

  3. 結論で再結論+抱負を述べて、医療スタッフを目指す自分の立場と関連づけます。

  • 本論が相当進んだ段階でようやく言わんとすることがわかるような文章は、「読み手に負担を与える文章」ということになります。1人の採点者が50枚も100枚も採点する状況を考えると、「読み手本意の立場」に立つことです。

  • 「結論先行型」の形式に慣れておくと、時間切れで書き切れなかった最悪の場合でも、最低限、言わんとすることは伝えられるリスクヘッジ(危険性回避)が可能です。


  • 文章表現は人間関係と同じで(「文は人なり」)、最初(人間関係では「第一印象」)。いい人だと思うかどうか(人間関係で言えば別れ際)。また、会いたくなる人かどうかが肝心です。

  • 入で、「テーマに沿った導入表現」を心がけ、締めくくりで「決めゼリフ」を持っていけるようにするには、最低10本は書かないと問題になりません。ほとんどの人は20本位は書いて、添削を受けています。

  • 時間がない場合は、先ず得意分野を1つ持つことが現実的です。

  • 新聞などを利用する場合は、必ずコメントを書き込むことが大事です。1週間もすれば効果が表れ、1ヶ月もやれば相当な見識が身につきますので、やった人やらなかった人の差は決定的になります。


4–大別すると、「私」に関するテーマと「時事関連」テーマ


他2つ「抽象題」や「データ(文章・グラフ・表など)を読ませ、要約・感想を踏まえ意見を書かせる」ものがありますが、還元すれば表題の2つに還元できます。


  1. 抽象題はいかに具体的に書くかがポイントで、いかに自分の得意な土俵に引き寄せて書くか

  2. データがある場合は解釈力(ここで現代文の読解力を見ている)と表現力(小論文の能力)を同時に見みることで、「現代文+小論文の融合問題形式」と考えられます。


「私」に関するテーマ

  • 「私が○○を目指す理由」(願書にも書き、面接でも聞かれるので何時でも表現できるように)

  • 「利用の○○像」(自分の意欲・抱負を示す上でも必要)

  • 「私の友人」

  • 「私の心に残った言葉・本」

  • 「私の人生で最も大切にしていること」etc

  • 「時事関連」テーマ

  • 「高齢化社会」・・・・時間がない場合は最優先にし得意分野とする「20位のテーマ」有り

  • 「少子化問題と女性の社会進出」

  • 「脳死と肝臓移植」

  • 「現代医療」

  • 「クローン問題と生殖医療」

  • 「環境問題」

  • 「青少年問題と教育」

  • 「現代の世相」etcが頻出


※ただ「何回書いたことがある」という問題ではなく、添削指導を受け「直して再提出⇔添削指導」のフィードバックの中で、「」仕上がったテーマがいくつあるか」が問題です。5–10個くらいあれば、初めてのテーマでも自分の得意分野に関連づけて応用が可能です。


5–「組み立て」と記述の仕方

文章を書き出す前の作業「組み立て」で半分は決まります。50分の制限時間でも10–15分を費やし価値があります。


  1. テーマに対して、まず思いつく限りの手持ちの材料「経験、知識、考え」を箇条書きにします。

  2. 次に、小論文の中心「=結論(小論文の命)」を決定します。「端的に言えばどういうことか」「一言で言うとどうなるのか」が結論。

  3. 「結論」を論証する具体例を選択します。注意すべきことは、「引き伸ばす」ことではなく、むしろ「削る」ことが大切です。文章は引き伸ばせば力を失います。

  4. 取捨選択し使えないものを削り、圧縮してより多くの内容を組み込むように心がけて、最後に導入部分と締めくくりの部分の表現を決めます。

  5. 実際の記述では、「自信がない」「これは間違っているかもしれないが」というマイナス・アピールは絶対禁止です。

  6. 面接でも、「長所・短所」を聞かれそのまま応えてはいけません。「私は慎重すぎてなかなか決断出来ない短所がありましたが、今ではそのことを良く自覚し、周囲の意見を聞いた上で積極的に決断していくように努力しています」などのようにプラス・アピールに切り替える工夫が必要です。


**試験官に自分の全てをわかってもらう必要はなく、「いい面のみ」正しく解かってもらえればよい**



6–推敲と字数

推敲する場合、全部書き終わってからだと、最終段階の修正と全体の微修正くらいしか出来ません。 基本的には段落ごと推敲を心がけ(大幅な修正も時間内に可能)、慣れてくれば一文ごと推敲を心がけます。字数も最低8割をクリアしないと、採点対象外になる恐れがあります(指定された条件で表現する能力がないとみなされます)。字数的には9割書くことが基本です。



7–記述と添削

  1. 小論文は書かないと何も始まらないので、沢山書くこと。

  2. 書くことより大切なのは、添削指導を受けることです。添削⇒書き直し⇒添削書き直しの繰り返しが必要です。

  3. 短時間でのレベルアップをしたい場合は、自分が自分の小論文を添削してみることです。

  4. 表現・内容面でチェックし、コメントを書く。一番重要なのは、自分が「採点者・試験官の立場」に立つことです。「自分が学校側だったら、この目の前の小論文を書いた人を入れたいのか」「評価できるとしたら、どこがいいのか」「評価できないとしたら、学校に入れたくないとしたら、何処が悪いのか。どう直せば評価できるようになるのか」といった観点で添削します。

  5. 一つのテーマにつき、3つの意見・小論文を照合したことになり、見識が相当深まります。

  6. 再び、「書く側」になった時、こうした視点を持った上で書くことが出来て効果は絶大です。

(人のミスを見抜けないようなら、自分のミスにも気づけません)




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