風邪に負けないための免疫力アップ!
「免疫力が高いと風邪を引きにくい」と言われるように、“免疫”とは、体外から体内に侵入した感染力のある細菌 やウィルスなどを駆除し、対抗する役割をする。 病気から守ってくれる重要な防御システムであり、健康維持に不 可欠な役割を担っている。風邪だけでなく、ウィルス性肝炎など深刻な病気にも、免疫力を高く保つことは重要で ある。 免疫の代表的なものに、体内に侵入してきたウィルスなどの感染した細胞を真先に攻撃するNK(ナチュラルキ ラー)細胞や、細菌ウィルスなどの異物を細胞内に取り込んで処理するマクロファージや樹状細胞といった貪欲 細胞などがあるが、バランスの悪い食生習慣や、睡眠不足、ストレス、喫煙、過度な疲労による活性酸素の増加等 が、免疫力を低下させる原因となる
免疫力チェック
以下の項目で当てはまるものが多いほど免疫力の低下が考えられる。 □ 風邪を引きやすい □ 風邪を引くとなかなか治らない □ のどが腫れやすい □ 結膜炎がよくできる □ 傷口が化膿しやすく、治りにくい □ ニキビや吹き出物など肌荒れが目立つ □ 下痢をしやすい □ 便秘がちである □ 疲れやすく体力が落ちたと思う □ 疲れが取れにくく、体が慢性的にだるい
免疫力低下の主な原因
■過食や偏食等の悪い食習慣 ■睡眠不足 ■ストレス ■喫煙 ■体内での活性酸素の増加
腸内環境と免疫力
腸は重要な免疫器官 腸が食物から栄養素やエネルギーを消化・吸収する役割を担っていると同時に、人体で最も大規模な免疫器 官である。他にも胸腺やリンパ節、扁桃腺などがある。 腸のひだを広げるとテニスコートほどの広さを持つ体内最大の免疫器官で、侵入した細菌やウィルスに対抗す る抗体をつくるリンパ球の約60%が集中する器官である。花や目の粘膜から侵入した細菌の抗体も腸で作られ ているので、免疫力を高めるには腸内環境を常に整えておくことが大切になる。腸にしっかり働いてもらうために は、腸内の善玉菌を増やすヨーグルトなどの発酵食品を定期的に食べることが有効である。
免疫力を高めて冬に備える
免疫力アップに特効薬はない
1.十分な質の良い睡眠(塾睡眠)
熟睡すると体中の血管が十分に広がり血液循環が良好になり、免疫力がアップする。睡眠時間を多くとるだ けでなく、熟睡できるよう自分にあった環境づくりも工夫する。
さらに、熟眠すると、は血球の一種であるナチュラルキラー細胞(NK細胞は睡眠により活性化する)の働きが 強まる。NK細胞は、文字通りキラー細胞といわれる殺し屋で、ウィルスや細菌を殺す力が大変強くガン細胞も 破壊する。熟眠は体力を回復させ、感染症にも強くなるので大変重要である。
[熟眠を妨げるもの]
いびきいびきは喉が狭くなることで、楽に呼吸ができず熟睡しにくくなる。
特に呼吸が度々停止する睡眠時無呼吸症候群の場合は、まったく熟睡出来ない。寝酒アルコールを飲むと眠くなるが、アルコールが分解されてできる。
アセトアルデヒドは、覚醒作用があるので、途中で目が覚めてしまうことになる。アセトアルデヒドには、発がん性があり、アルコールが食道がんの原因として重要視されている。運動不足適度な運動をすると良く眠れる。特に夕方の散歩が効果的である
2.笑う
笑うとNK細胞が活性化し、免疫力が高まるが、 これは脳のストレスを和らげるためで、痛みも減少する。
3.腸内環境のカギは腸内細菌が握っている
腸の中には100種以上の腸内細菌が、100兆個以上も生きており、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類がある。 一番多いのが日和見菌、次が善玉菌で、悪玉菌は少数である。これらの菌は、健康な腸ではバランスを保ちな がら生息している。タンパク質や資質に偏った食事やストレスの多い生活、便秘などが原因で悪玉菌が増えると、 腸内環境が悪くなり、免疫力が低下し、食中毒菌をはじめとする様々な病原菌やウィルスに感染する危険が増え ることになる。
そのようにならないためには、規則正しい生活を心がけ、善玉菌を持続的に腸内に補給する習慣も大切である。善玉菌食べた食物の消化吸収を助け、免疫力の強化に役立つ有益な菌日和見菌特に有益な働きはしないが、腸内細菌のバランスが崩れ悪玉菌が増えると有害になることもある悪玉菌細菌毒素を生成したり、腸内の腐敗や炎症を起こす物質や発がん性物質をつくる有害な菌乳酸菌の力善玉菌の一つである乳酸菌は、ウィルスなどの人体に有害な外的に強く対抗する免疫機能「NK細胞」の働きを活発にする。日頃から乳酸菌を積極的に摂ることは、感染症等の予防にもつながる。
また、便通を良くし、悪玉細菌を減らす効果がある乳酸菌や食物繊維を摂ると腸内環境がよくなる。
4.禁煙
タバコの煙には、人体に有害な物質が多く含まれており、習慣的な喫煙は常に免疫機能に負担をかけ、免疫力の低下につながる。1日1本タバコを吸うと、肺癌で死亡する確率2倍以上に上昇すると言われている。
5.ストレス解消を心がける
気分転換やリラックスできる時間を生活の中で意識的に作る。好きな趣味を楽しんだり、軽い運動で気分をス ッキリさせる。自律神経やホルモンのバランスが整うと免疫細胞によい影響を与える。
ストレスがあると良く眠れず神経系統も乱れるので、免疫力が低下する。解消するには、適度な運動、休憩、 趣味、談笑なども有効である。不眠は、ストレスを引き起こすが、不眠であるということの悩みもストレスになる。 最近は睡眠障害に向いた薬もあるので医師の要相談(癖にならない睡眠薬もあるので、眠れない、中途覚醒、 早朝覚醒などに睡眠薬を服用する)。
6.栄養バランスのよい規則正しい食生活
不足しがちな野菜を十分に摂ることで栄養バランスを心がける。栄養不足は免疫力を低下させる。腸内環境 を整えるためにも乳酸菌や食物繊維もしっかり摂る。ビタミンやタンパク質を十分に摂ると体力がつき、免疫力 が高まる。
7.活性酸素を過剰に溜め込まない
活性酸素は、細菌を攻撃する免疫力の一つだが、過剰になると細胞を傷つけ結果的に免疫機能の低下に つながる。活性酸素の過剰を抑制するには、持久力を高める有酸素運動が効果的である。ジュギン具やサイ クリング、早足での散歩等無理のない範囲で続けることである。
■感染による免疫力の獲得
NK細胞のような白血球は、色々なウィルスや細菌に有効な免 疫力である。加えて、ウィルスに感染することで得られる免疫力も あるが、感染したウィルスにしか免疫力を発揮しない。初めて感 染した時に免疫を獲得し、その後ウィルスが体内に侵入(感染) すると、免疫が働き増殖を阻止しようとする。免疫力が強いとウ ィルスは増殖できず、発病せずに済み(=不顕性感染)、免疫を 獲得できる。(医師、薬剤師、看護師などは風邪を引きにくいの は、不顕性感染を繰返し、免疫が補強されているため)
■免疫の強弱
一度感染すると強い免疫力を獲得し、免疫が一生持続し、再 発しないもの(天然痘など)から、免疫力が弱く、何度も発病する ものまで様々である。流行しているRSウィルス感染症は、3歳まで に全ての乳幼児が感染するが、免疫力が弱く、再発を繰り返す。 しかし何度の感染している内に免疫が蓄積され、大人では軽い 風邪の症状が出る程度である。
■インフルエンザの免疫力
インフルエンザの免疫力は強くないので、何度も感染する可能 性があるので、予防注射は毎年行なわれている。
が内臓の働きや呼吸数、心拍数、血管の収縮などのバランスをとる。
ストレス状態では、交感神経が優位に働き、体は常に緊張した状態で心は不安定になり、様々なストレス病に つながることも少なくない。リラックスしていると、副交感神経の働きが強まることで心身が安定し、勉強の能率も よくなる。
首や肩のリラックス 肩をあげて力を入れ、出来るだけ肩甲骨をつけるようにします。3–5秒間ためをつくり、一気にストーンと落とし、 また、首を左右に回してみます。
呼吸とリラックス 吐く息をできるだけゆっくり長くし、て吸う息は自然に任せる。この呼吸は苦しくない程度に1分間に2–3回位、 徐々に長くしていき5分間ほど続ける。
全身のリラックス 両膝を会わせて椅子に座りる。足、膝、手、腕、背中、首の順に力を入れていき、最後の顔にも目の周りを中心 に力を入れる。呼吸は止めずに2–3分間その状態を維持して一気に脱力する。目を閉じてしばらく休む。この行 為を2回ほど繰返す。
風邪の予防と治療
風邪の予防には普段から規則正しい生活が大切である。特に十分な睡眠時間や食事の時間を規則的にとり、 栄養が偏らないようにすることが大事である。また、首、腹、足首など血管が外気に触れる部分の保温に心がけ る。体温の低下は免疫力の低下を意味する。特に免疫力の約60%が作られるお腹を冷やすことは、風邪の大 敵である。
<風邪の予防>
野菜や果物などの努めてビタミン類を多く含む食品を食べる。
体の抵抗力が低下しているいる時は、短時間でも毎日1回は全身の筋肉を動かすように心がける。
帰宅後は必ず手を洗い、うがいをする習慣をつける。
インフルエンザの流行時には、人ごみを避けるように心がけて服装も気温に合わせて変える。
部屋の冷暖房を使う際は、温度と湿度に気を配る。乾燥すると咽頭炎になり易くなる。
<風邪の治療>
風邪を引いたら、1–2日間思いきって休み、安静にする。 休んだほうが直りが早い。風邪がいつまでもよくならないのは、初期段階に安静にしていなかった人に多い。
発熱時には、2–3日間安静が必要である。 食事は、胃腸などが弱っていますので消化のよいもので、ビタミン類の豊富なもの(主に果物)を努めて摂る ことである。また、充分な水分も摂取することである。
薬の投与 風邪のほとんどはウィルスによるものなので直接効果のある薬はなかなかない。薬を投与する目的は対処療 法で二次感染を防ぐためである。発熱には解熱剤、頭痛や咽頭痛には痛み止め、鼻水には抗ヒスタミン剤、 抗生物資の投与などである。 治療の根本的考え方は、自然に治癒するのも待つこと。従って、急性期を過ぎた風邪には風邪薬は必ずしも 必要としないが、医師の判断に従うのが最良の方法です。
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